植物の意識と繋がる「ディエタ」の極意とは(2/2)

梶 智就さんによるテキスト翻訳の最終回は、シピボ族のシャーマニズム・植物療法における極意「ディエタ」について前回ご紹介した【実践編】の続編・【インテグレーション編】をご紹介します。

最終回:植物の意識と繋がる「ディエタ」の極意とは(1/2)

http://nativesoon.com/blog/2291/


🌱体験者・翻訳者のプロフィール🌱

梶 智就:(アルバータ大学生物科学研究科・博士研究員)

研究の過程で偶然シピボ族のシャーマニズムに出会い、以来関心を持って調べ続けている。

個人ウェブサイト:https://sites.google.com/site/tomonarikaji/


梶さんがディエタ体験の中で使用した教科書は、偉大なシャーマン・ムラヤであったオリビア、ベヘタリスタのマルコスなどオリビアの親族にあたる多数のヒーラーたちの教えを元に編纂され「Sambo Kushi Ayahuasca Retreat 02/06/2018(原文:英語)」としてまとめられたものです。

参照:ヒーラー紹介 http://nativesoon.com/blog/1898/

梶さんによって翻訳された本教本の内容は、① シピボ語用語集 ② イカロ 日本語訳 ③ 植物リスト ④ディエタとは から成り、「Sambo Kushi Ayahuasca Retreat 02/06/2018(原文:英語)」の抜粋内容をベースに、梶さんが現地での学びを通して聞き取った内容を加筆して作成されています。

 

本ブログでは、④ディエタについて 記載された教本内容のうち、前回のブログの続編である「インテグレーション編」をご紹介します。

 

インテグレーションとは「統合、統一、融合、一体化、集積」などの意味をもちますが、教本が以下で言及するのは「ディエタを通じて植物から受け取った学びを、日常生活にどうやって溶け込ませるか?」というポイントです。

 

植物療法の体験者の多くが、植物を摂取している際に起こる変化を最重要視しがちですが、真に重視されるべきは植物の学びを日常生活で実践することにあります。ディエタに成功し人生を変えるきっかけを得ても、日常生活で実践されなければその学びが100%生かされたとは言い切れません。

 

一方、体験者の多くが帰国後に訪れる【インテグレーション】の段階で、様々な困難に直面していることも事実です。

極端な例になると、帰国直後にドラッグを摂取したことで体調を崩し、シャーマンの元に舞い戻らざるを得なかったというケースも耳にしたことがあります。その他、植物からの学びと実社会のギャップに苦しみ心身のバランスを崩すということも、よく起こる話です。

 

現地を訪れる欧米のディエタ修行者たちの間で「ポスト・ディエタ 」にスポットがあたり出しているのも、インテグレーションの重要性が認知されだしている証左といえるでしょう。ポスト・ディエタとは、ディエタ終了後の調整を目的としたディエタのことで、通常1ヶ月間に渡って緩かな制限をそのまま遵守することを言います。近年、ディエタ終了後も師匠のもとにとどまるか条件を緩めたディエタを続ける人が増加する傾向にあります。

 

前回のブログ【実践編】でも警笛を鳴らしている通り、

クランデリズモ(南米のシャーマニズム)の伝統の外に住む人は、ディエタ終了後に自分自身や植物を軽視した結果として訪れる「悪い帰結」の深刻さについて理解しない傾向にあります。植物のエネルギーを受け取ることは恩寵を受けた存在になることだし、そのエネルギーが誰かを罰することなんてありえないと考えがち

これらの誤解から生じるインテグレーションの失敗は、「アヤワスカ体験者」に対する世間の誤解にも繋がりかねません。植物を一度でも身体にいれると(修行者がそれに気づいているかいないかに拘らず)修行者に様々な変化が訪れることをよく理解した上で、体験をシェアできる適切なコミュニティを探し、変化を冷静に受け止めるための環境を整えることが重要です。

 

そしてアヤワスカや植物を使用するシャーマニズムを必要としない人も多くいることに敬意を持って、自身の体験を絶対視しないこと。内面世界での学びを、多くの人に理解可能な言語・様式に変換する思いやりを持つことを心がけましょう。

 

以下で紹介するのは、ディエタ後のインテグレーションに向けたアイデアの一例です。先ずは、帰国後の【インテグレーション】の重要性を理解したうえで、植物がもたらす恩恵に向き合う機会をもつよう心がけてみてください。真に意味のあること、重要なことは達成するのに時間がかかるものです。自分の世界観を根本から変えたいのであれば、尚更のこと。時間をかけて、来るべき変革の時に備えましょう

 

今すぐにアマゾンの植物世界を体験することが難しい方は、知識としての「ディエタ 」を理解した上で、日本でも入手可能な植物(セージなど)を浄化にとりいれたり夢見の修行からはじめてみてはいかがでしょうか?

 

 


ディエタ終了後のインテグレーション


ディエタを進めていくと、様々な次元での治療が起こります。

植物の薬効はあなたが施設を去った後も長く体にとどまり、働き続けます。あなたはディエタの後で様々な感情の揺らぎを経験するかもしれません。それはあなたが経験を身体的、感情的、精神的レベルにおいてインテグレートしようとしているからにほかなりません。

 

その経験がどんなものであっても誇りに思い、あなた自身をいたわることが重要です。あなたはある時とても社交的になり、あるとき孤独に浸りたい気分になるかもしれません。あなたが愛する人々に「まだ愛している」と伝えた上で、あなた自身をいたわる時間を作って下さい。

 

ディエタで得た経験を伝える際にはよく考えて人を選んで下さい。

もしその人があなたの話を聞くことに対し開かれていないなら、あなたの経験は損なわれてしまうかもしれません。今から述べる助言はあなたのインテグレーションを助けるためのものです。

私達のフェイスブックページに質問を投稿して、お互い支えあうことも良いアイディアです。以下、その他、インテグレーションを助けるための有効なアイデアをご紹介します。

 

“コミュニティーへの参加”

ヨガや瞑想グループのように、あなたと同じ趣味嗜好をもつ人々といることは大きな助けになります。様々なタイプの活動や自助グループがあなたの成長を助けます。あなたの心を共鳴させる何かを見つけ出すことこそが、続けることへの近道です。

 

“瞑想の実践”

いろいろなタイプの瞑想法があり、それらはすべて素晴らしい実践になります。経験をインテグレートするに適した瞑想法の1つは、あなたが儀式中に見出した洞察や経験に集中することです。瞑想中に強い洞察や経験に集中し、それがもたらす全ての感覚に引き込まれることをあなた自身に許してください。こういった新しい洞察は、時に長年に渡る条件付けに抗することもあるため、こういった瞑想法は洞察によってもたらされた新しい神経伝達経路を補強するために役立ちます。

 

“夢を通じた訓練”

夢を使った訓練について学ぶことも有用です。簡単にできることとして、眠りにつく前に「夢を覚えていたい」を自分に言い聞かせ、枕元に夢を記録するためのノートとペンを置いておくことができます。また、植物を枕の下に置いて、夢の中で交流できるようにと祈ることもできます。夢はアヤワスカの世界と連続的ですので、そこで精霊と交流し情報を得ることができます。

 

この声明を覚えて下さい。「もしあなたがメディシンであるなら心の扉を通って私の体に入って下さい。もしあなたがメディシンでないなら立ち去って下さい、私はあなたに関心がありません」

これは悪いものへの防壁として働くと同時に、良い精霊が体に入ることを奨励するものです。これらを起きている時やることに十分慣れたなら、同じことをまどろみの中、そして夢の中ですらも行うことができるようになります。

 

 


植物とのコミュニケーションと瞑想


あなたと植物の関係を育て続ける方法はたくさんあります。

植物の傍に寄り添って、植物の放出する酸素を吸い込み、二酸化炭素を吐き出し、その共生関係を体験してみてください(植物は二酸化炭素を取り込み酸素を放出します)。

あなたが植物に集中しながらゆっくりと深呼吸する時、あなたと植物のエネルギーは繋がります。“Plant Spirit Consciousness”という本に、植物との繋がりを築くためのたくさんの良い方法が紹介されています。

 

植物をじっと見つめることもまた、あなたと植物のエネルギーを繋げる方法の1つです。例えばサトイモ科の植物、ディフェンバキアを使うのは良い方法です。

この科の植物は防御の力を持っていますので、特にお勧めできます(無ければあなたの身の回りにある植物でもかまいませんが)。

 

この実践はあなたとその植物類全ての種との繋がりを築き、植物の精霊はあなたの家を侵入者から保護してくれます。侵入者が来ることを察知した精霊が侵入者の心にあなたのイメージを映し出すことによりあなたが在宅であることを察知させ退散を促します。

 

実践に最適な環境は、夜、黒い背景の前で黒い鉢植えを置いた状態です。

ティーライトキャンドルを鉢植えの後ろに置き、炎は見えないが明かりはある状態にします。そして鉢植えを90度ごと時計回りに回転させながら、それぞれの角度から植物をじっくりと見つめて下さい。そのうち、植物の周りに青紫色、もしくは青色の光が見えてくるかもしれません。それが植物のエナジーフィールドです。

 

この実践では、ただあなたが精神的に植物と繋がるだけではなく、可視光域を紫外まで広げることにより、見えるものをだんだんと開いていきます。この実践はLujan Matus著「Aeakening the Third Eye」からの引用です。

 

Stephen Harrod Buhner著「The Secret Teachings of Plants」には、植物のエナジーフィールドと繋がって彼らの薬効を直接的に知る素晴らしい方法が記されています。

 

その方法は人間の患者にも応用でき、彼によれば患者の病気の元凶となっている部位の視覚的、感覚的情報を得られるとのことです。その様子はアヤワスケーロがアヤワスカを使って行う治療に似ています。詳細は彼の本を参照してください。

 

彼らはまず植物と共に過ごし、その本性を現すようにと祈ります。彼によれば、特定の感覚により繋がった瞬間が知らされ、その後で感情と触覚が来るとのことです。

そして時がたつにつれ、瞑想の中でこの繋がりの瞬間が触覚的に再現され、可能な限り増幅され、そして断ち切られるようになります。彼は、全てのプロセスを「振動」として行うことが必要であると説きます。

 

この実践を繰り返すことにより、植物はその本性をあなたに顕すようになるでしょう。これと似たプロセスは患者に対しても応用されます。問題のある体の部位は直感的に探り当てられ、愛とエネルギーをその部位に向けることにより患者とその部位の対話を仕向け、病の本質が顕になるのです。