体験談#2:ディエタ体験記 植物療法とシャーマニズムの基礎訓練 (1/4)

教本シリーズの翻訳者・梶 智就さんが、3週間のディエタ・植物療法体験記を共有してくれました。

全4回に亘ってお届けする梶 智就さんによる体験記。第1回にあたる本ブログでは、修行を始めた経緯と施術結果が詳細に纏められています。現地でのディエタ ・植物療法を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。


🌱体験者のプロフィール🌱

梶 智就:(アルバータ大学生物科学研究科・博士研究員)

研究の過程で偶然シピボ族のシャーマニズムに出会い、以来関心を持って調べ続けている。

個人ウェブサイト:https://sites.google.com/site/tomonarikaji/

 

 


ディエタ修行を行うこととなった経緯


私は以前カナダに移住して以来、哲学探求の一環としていわゆるTeacher Plantsと多く関わってきた。

その趣味が高じ、2016年にイキトスの呪術医、リカード・アマリンゴ氏の元に一週間滞在した。

その時の儀式を転機として遺伝病だと思っていた重い便秘症が軽快し、同時に世界の見え方や感じ方そのものが6ヶ月の期間をかけて新しく組み変わる経験を経て、以来植物との交感による癒やしの世界に多大な関心を抱くこととなった。

 

個人的に見よう見まねで儀式を重ねた結果として、自我や時間や存在のみならず「生きて死ぬ私」というこの世界にとって根本的な立脚点そのものが完全に崩落し、世界が新しく生まれ変わり、同時にこれまでの人生で執着してきた物事から心が自然と離れていくといったことが、これまた10ヶ月ほどの苦悩の中で経験された。

 

この新しく投げ込まれた慈愛に満ちた世界の中で私なりに人や自然のためになることを出来るようになりたいと願ったが、そのためにはまずこの世界の専門家である呪術医の元で修行する必要があると感じた。

修行によりこの新しい世界を確固たる枠組みの元に統合し、しっかりと根付く生き方を学びたい、そういった思いから今回の訓練をお願いすることとなった。

 

2017年よりNative Soonさんとコンタクトをとり、私の渡航目的に見合った呪術医を探していただいていた。

当初、非常に高名な呪術医であるオリビア・アレバロ氏の元に滞在し修行させていただくとのことで話が進んでいたが、2018年4月、当のオリビア氏が外国人の手によって殺害されてしまうという悲劇が起こった。

その後紆余曲折あったが最終的には、オリビア一族の1員である呪術医ミカエラ・ガルシア氏を筆頭に、ロボヤ村在住のベヘタリスタドン・マルコス氏、そしてオリビアの親族であり弟子でもあったアヤワスケイロのマルコス青年、この三者がチームを組んで私の治療及び訓練にあたってくれることとなった。

人物の詳細ついてはこちらを参照:http://nativesoon.com/blog/1898/

あのような悲劇の後、彼らとしてはいろいろと思うところもあったはずだが、その悲しみの中から再びチームを組んで施設を再開し、見ず知らずの外国人にもかかわらず受入れを承諾していただいたことに驚き感謝しつつ、2018年6月、現地に赴いた。

 


薬草療法前後の身体諸症状の変化


まず即物的な治療結果について記述する。私は本年の始めごろより甲状腺機能亢進症を診断されていた。しかし病院で出された薬は副作用のため飲み続けることができなかった。

 

私は家を持たず暮らしており、数週間〜数ヶ月の単位で国をまたぐ移動を繰り返している。そのため健康保険に入ることも難しく、僻地勤務が多いことから病院への通院は現実的に不可能であるといった制約があり、これまでその病気に正面から向かい合うこと無く放置していた。

 

その結果症状は悪化し、平常時の心拍数は110/分を超え、体中に刺すような痒みがあり寝付きが悪く夜中に何度も起きる、火照りと頭痛で寝付きが悪い、手が震えるため仕事に差し支える、などといった自覚症状が日増しに強くなっていった。

 

休職してでも帰国し治療に専念しなければ合併症の弊害のみならず心臓発作のリスクがある、そのような状態になったときタイミングよくアマゾン渡航が決まった。今回は26日間の滞在、薬草療法の効果がギリギリ出ると思われる期間であり、決して十分に長くはないが、現在の勤務体制だとこれ以上は望めなかった。

 

以下、治療の成果を簡潔にリストアップする。


甲状腺機能亢進症(血液検査による診断済み)に伴う諸症状   

・頻脈 → 軽快(110/分→70/分)

・火照り → 軽快

・頭痛 → 完治

・痒み → 完治

・不眠 → 完治

・女性化乳房 → 完治

・口内炎 → 以降再発無し

その他変化のあった症状

・慢性上咽頭炎 → 完治

・ステロイド外用薬後遺症の慢性皮膚炎 → 一時的に軽快したが状況により再発あり

・軽い便秘体質 → 完治


治療に使用した薬草類は下記#1〜#12の通り。(写真下:著者の治療計画のため集められた薬草類)

 

#1  ピヨンコロラド

マスタープラント(=ディエタ中、最も強い繋がりを持ち教えを仰ぐ植物に対する呼び方)として、最初の2日のみ1日1回、抽出液を飲用。修行終了2日前より1日3回、破砕した5枚の葉を水に溶かし、プラントバス(=植物のエキスが溶け込んだ原液を水浴びすること)として身体に吸収。

#2  マパチョ

:マスタープラントとして、最初の2日のみ1日1回、抽出液を飲用。ピヨンコロラド抽出液と混ぜて。

 

#3  バレリャーナ

:花からの抽出液。不眠症治癒のため、毎晩寝る前に飲用。

 

#4  タンティラオ

:オジギソウに似た植物からの抽出液。泌尿器系を浄化するため、最初の10日間継続的に大量飲用。この期間、飲料水は全てこの抽出液で補った。

#5  エンプラスト

:首の疾患を外側から治癒するため、期間の中盤に2度使用。パティキナネグロ+ピヨンコロラド+トエ+マパチョ+カタワ+ポクノチョの混合物を煮詰めたものを、包帯で首に巻く。皮膚が焼けるような強い痛みを感じるが、そのまま2−3時間我慢する。(参考:写真下図のように、薬草を煮詰めたものを患部に押し当て包帯で包む施術を“エンプラスト”とよぶ。煮詰める薬草は、患者の疾患に応じて調合する。)

#6  うがい薬(名称不明:20種類近い植物が含有されたチンキ)

:首の疾患を内側から治癒するため、毎日朝と夕に使用。

 

#7  チュチュワシ

:樹皮の皮層を破砕し水で抽出した液をボミティーボ(=吐剤)及び内服薬として使用。ボミティーボとして1度使用。まず内服することにより穢れを吸着し、5分後から大量のぬるま湯を飲んで吐くを繰り返す。内服薬として修行終盤の7日間使用。1日3回朝昼晩に飲む。血液を浄化する薬草であり、万病に効く。(写真下1枚目:チュチュワシの皮層を削り出し細かくしていく。手作業だと3日かかることも。写真下2枚目:チュチュワシのボミティーボ用の原液。グラス1杯程度の原液を服用後、ぬるま湯を飲んで吐くを繰り返す。)

 

#8  サチャマンゴ

:果肉部分に含まれる液体を鼻に注ぐ。咽頭疾患全般の治癒のため、2回使用。鼻の奥から喉にかけて凄まじい痛み、及び名状しがたい不快感と嘔吐が2時間続き、その後1−2週間は耳と鼻に後遺症が残る。(写真下:サチャマンゴの果肉をコットンの上で擦り、コットンごと絞ることにより果肉に含まれる液体を分離する)

 

#9  コットン

:葉を破砕しペースト状にしたものを1度だけ全身の皮膚に塗布。皮膚疾患治療のため。

 

#10  マロサ

:破砕した葉を水に溶かし、プラントバスとして。未来に幸運をもたらすため。

#11  アヤウマ

:プラントバス及び喫煙に使用。プラントバスは防御と幸運を呼ぶため、喫煙は夢に働きかけてマスタープランツとの繋がりを助けるため。(写真下:アヤウマの果実を割り、果肉をプラントバスに、種子の中身を喫煙に使用)

#12  アヤワスカ

:植物との繋がりを強くし儀式を助ける目的で、2度飲用。

生活を脅かされていた原因であった甲状腺機能亢進症のみならず、あまり問題として認識していなかった慢性上咽頭炎や若干の便秘症まで綺麗すっかり消えてしまうという予想をはるかに越える結果となった。

このような成果をもたらしたディエタ修行とはいったいどのようなものだったのか? 

 

ディエタ修行の詳細についてはNative Soonさんの記事(http://nativesoon.com/blog/1785/)や私の翻訳した教本(http://nativesoon.com/blog/2291/ )(http://nativesoon.com/blog/2341/)に詳しく紹介されているので、本稿では割愛する。そのかわり、現地での経験の中から特に印象的だった事柄などをピックアップし、おおまかに時系列にそって記述していく。