シャーマンの探し方

シピボ族の植物療法を体験する上で最も重要な要素のひとつが、よきシャーマン=ガイドに出会うことです。深遠な知識の裏に恐ろしさも潜む植物の世界。彼らはこの闇の世界に光を差し込み、癒しの道を開くガイドの役目を果たしています。

 

アヤワスカの体験は、師事したシャーマンの哲学と個性によって大きく異なります。悪い影響を与える呪術師(ブルホと呼ばれる)にあたると、心身や環境に悪影響を及ぼす場合があるので注意が必要です。

 

そこで、本ブログではシピボ族のシャーマニズムにおける1)ヒーラーの分類 2)体験施設の分類 3)優れたシャーマンの特徴 について記述し、NATIVE SOONが考える正しいシピボ族のシャーマンの探し方を説明します。

 

 


1)ヒーラーの分類


植物療法体験における不完全燃焼感の多くは、シピボ族の植物療法を担うヒーラーの分類を知らない点にあると言っても過言ではありません。

よき師匠に出会うためには、シピボ族の植物療法におけるヒーラー(施術者)分類の理解が必須です。

 

シピボ族の植物療法を担うヒーラーには、植物を使った治療技術の水準強みのある治療領域の違いによって以下の分類があります。


違い①:ベヘタリスタ=身体領域 シャーマン=精神領域


植物を使った治療技術において高い水準をもつヒーラーのうち、身体の治癒を専門とする人は、「ベヘタリスタ」と呼ばれます。彼らは、アマゾンに生息する薬用植物の効用と使用方法に関する専門家で、自然の力のみを使って身体を治癒する人びとです。症状にあわせて様々な植物を「メディコ(薬)」として処方し、植物の薬効を直接的に活用します。(写真下:ベヘタリスタとして30年超の実績をもつマルコス)

この点、ベヘタリスタによる薬用植物を使った療法・知識体系は、「ベヘタリズモ(英:ベヘタリズム、≒植物療法)」と呼ばれます。

 

一方、薬用植物による精神や魂の領域の治癒を専門とする人は一般名称の「シャーマン」に該当し、シピボ語でONAYA(オナンヤ)と呼ばれます。彼らは、薬用植物の効用と使用方法を学びながら「ディエタ」と呼ばれる修行によって「イカロ(治療歌)」を獲得します。(写真下:シャーマンとして35年超の実績をもつミカエラとアルマンド)

参照:シャーマン修行:ディエタ とは http://nativesoon.com/blog/1785/

ベヘタリスタが植物を直接的に活用するのに対して、シャーマンは植物の力をイカロという「治癒アイテム」に変換することで間接的に用いる点が特徴です。

 

先ずは、「ベヘタリスタ=身体領域の専門家」「シャーマン(ONAYA)=精神領域の専門家」という分類がある点を抑えておきましょう。

 


違い②:精神領域における治療技術の水準


植物療法の初心者にとって区別が難しいのが、「シャーマン(ONAYA)」「アヤワスケイロ」の違いです。

 

シャーマン(ONAYA)は、アヤワスカとディエタした薬用植物の力を使って人を癒す能力を備えている人を差します。一方、アヤワスケイロと呼ばれる人は、アヤワスカの世界を人びととシェアすることにとどまり、アヤワスカを使って人を癒す高い治療技術は持ち合わせていません。

 

アヤワスケイロは、シャーマン(ONAYA)になるために通過する道であって、シャーマンを目指す修行者は「アヤワスケイロ」に該当します。

 

この点、「アヤワスケイロ」にも段階があり、セレモニーに使用するアヤワスカ茶の準備ができる、修行中のプラント・マエストロの力を使ってイカロを歌えるなど、シャーマンと殆ど変わらない(そうみえる)能力をもつアヤワスケイロも多数存在します。また、ベヘタリスタの知識も備えたアヤワスケイロの場合、植物を使って身体を治癒できることもあります。(写真下:アヤワスケイロのマルコス。シャーマニズムを学びながら、ベヘタリズムにも通じる)

しかし、シャーマンやベヘタリスタと比較するとその実績や経験は浅い場合が多く(10年以下)、特にアヤワスカを用いた精神領域の治療技術の水準におけるシャーマンとの差は歴然です。

 

「自称・シャーマン」に該当する多くが、このアヤワスケイロと呼ばれる人びとで、彼らはアヤワスカのセレモニーを開催する能力はあっても癒す能力は持ち合わせていない場合が多いため、注意が必要です。

 


ベヘタリスタとシャーマンによる植物療法の違い


では、共に高い治療技術をもつベヘタリスタとシャーマン(ONAYA)の植物療法には、どのような違いがあるのでしょうか?


違い①:植物治療におけるアヤワスカの必要性


最も顕著な違いのひとつが、治療におけるアヤワスカの必要性です。ベヘタリスタは、身体領域の治癒を目的とするため、主に精神・魂領域の癒しに効果を発揮するアヤワスカの使用を重視しない傾向があります。

 

一方、シャーマン(OANAYA)は、精神・魂の治癒を目的とするため、飲んだ人の記憶に触れて霊性を開くことができるアヤワスカが必須となります。

 

この点、診断の状況を確認する目的でアヤワスカを使用するベヘタリスタも中には存在します。熟練のベヘタリスタになると、シャーマン同様に長年のディエタを通して獲得したイカロを歌って精神領域を癒せる場合もありますが、基本彼らはイカロを歌うことを好まない傾向にあります。

 

アヤワスケイロのマルコスが多くのベヘタリスタにインタビューしたところによると、彼らは植物から薬をつくることが好きで人前でイカロを歌うのは好まないと答えたといいます。

ベヘタリスタは、その長い修行経験から、時にはシャーマンよりも「見(診)えている」ことも多々ありますが、病の原因をイカロで治療することは行わないのです。

 

このように、シャーマンがアヤワスカを飲むことで植物と繋がりイカロで治療する一方、ベヘタリスタはアヤワスカやイカロを治療に用いない点が大きく異なります。

 

 


違い②:薬用植物に関する知識の持ち方


二つ目の違いは、薬用植物に関する知識の持ち方です。ベヘタリスタは、植物の薬効を広く深く理解する方向にありますが、シャーマンはその知識がより浅くなる方向にあります。

 

これは、植物の活用の仕方・目的の違いからくるものです。ベヘタリスタが植物を直接的に活用し(=植物を処方薬に変えて)患者を治癒することを目的とする一方、シャーマン(ONAYA)は植物を間接的に活用し(=薬効をイカロという治癒アイテムに変換して)アヤワスカと組み合わせて治癒することを目的としているため、ひとつの植物の薬効を深く掘る必要性が低いのです。

 

結果、植物そのものの薬効についての知識は、ディエタを通して得た効用にとどまり、浅くなる傾向があるといえます。 ベヘタリスタは、身体を治癒するメディコ(薬)を処方するため、ひとつの植物の効用を知り尽くしている必要があるのです。

 

尚、違い①と同様に、知識の持ち方にも個人差があります。シャーマンの中には、ベヘタリスタ並みに深い植物の知識を有した人も存在します。しかし、通常ベヘタリスタとシャーマン双方の世界をそれぞれの世界の専業者並みに極めることは難しいとされており、「シャーマニズムに通じたベヘタリスタ」か「ベヘタリズムに通じたシャーマン」にとどまると考えられています。

 


最高位のシャーマン=ムラヤ


更に、ONAYA(オナヤ)の世界には、治療技術や繋がれる世界に応じた段階があり、最高位のヒーリング技術を持ったONAYAMuraya(ムラヤ)と呼ばれます。(写真下:ムラヤと呼ばれたオリビアの世界観を表す絵画)

ムラヤは、自由自在に人間以外(虎などの動物や鳥、植物など)のものに姿を変えて異なる次元に同時にアクセスすることができると言われますが、現代でこのクラスのヒーラーにめぐり合うのは大変稀になっています。

 

以上、上記で説明したヒーラーの分類を理解することで、自分が出会ったシピボ族の「シャーマン」がもつ治療水準や得意領域を推定することが可能になるのです。

 


2)体験施設の分類


ヒーラーの分類を理解した上で次に重要なのが、体験施設の分類を抑えることです。

施設の分類を理解することで、具体的にどこにいけばシャーマンに会えるかがわかるようになります。

 

アヤワスカを含む植物療法を提供している場所には、大きく以下の分類があります。

① 外国人が運営しシャーマンを召喚する方式をとるセンター

② シャーマン自身が運営するセンター

③ シャーマンの自宅

センターとは、アヤワスカのセレモニー会場(通称マロカ、写真下)と宿泊施設などを併用した大型の療養施設で、滞在設備が整っていることと腕のいいシャーマンを揃えている点が特徴です。大規模になるほど、治療プロセスや値段体系がマニュアル化されている点も安心材料となります。

 

①の場合は、外国人がセンターを運営しながら複数のシャーマンを召喚する形式をとり、②の場合は、シャーマン自らがセンターを運営し、自身の親族で布陣を固める形式をとります。

 

③の場合は、シャーマンの自宅にホームステイしながら植物療法をうける形式をとります。①②と違って、シャーマンとの生活を体験しながら密にコミュニケーションがとれる点が特徴ですが、滞在施設が簡素化するためプライベートの空間は確保しにくくなります。

 

自らシピボのシャーマンを開拓したければ、上記の分類を踏まえた上で、直感と足を頼りにヒーラーが多く集まる場所(ペルーであれば、イキトス、タラポト、プカルパ周辺)を訪れるのがよいでしょう。センターでの体験を希望する場合は、イキトスかプカルパ周辺(サンフランシスコ村)に数多く存在しています。

 

 


3)いいシャーマンの特徴


最後に、私たちNATIVE SOONが考える「優れたシャーマンの特徴」について共有します。これらは現地での体験を通じて得た私見ですが、シャーマンを探す際の参考にして下さい。

 

私たちは、優れたシャーマンの最低条件を、「ディエタを頻繁にしていて、心身の鍛錬を積んでいること」だと考えています。ディエタ をしているシャーマンの特徴として、以下の項目があげられます。

・目がガラス玉のように澄んでいる

・健康的な肉体を持っていて(=太りすぎていない)、静かでエネルギッシュなオーラーがある

・思考が整理されているため、簡潔な言葉で的を得た助言ができる(=冗長な説明の仕方をしない)

・イカロの音色に「振動(バイブレーション)」がある(=イカロの振動こそがディエタしている証)

・イカロを聴くと体内が浄化されたことを実感することができる

・イカロを聴くと心の平静さを取り戻すことができる

・施術を体験した結果、人生が良い方向に動き出す

シャーマンには様々な個性と能力があり相性にも個人差があるため、いいシャーマンの条件を一般化することは困難ですが、「ディエタを頻繁 or 長期間している=治癒力の高さ」ということだけは理解しておきましょう。

 

 


シャーマン=アヤワスカ体験のすべて


以上3つのポイントを踏まえることが、私たちが考える正しいシャーマンの探し方となります。

 

アヤワスカの体験、という点からみると、出会ったシャーマンがその体験の印象を決めるすべてです。摂取してきた植物に加え、人間としての徳の高さも治療技術の水準に影響してきます。

 

よき師匠と出会うには縁やタイミングも大きく作用してきますが、植物療法に求める目的をはっきりとさせることで、よりよいご縁に巡り合うことができるはずです。ぜひ、参考にしてみてください。

 

多くの皆様に植物の素晴らしい導きが訪れますように….

 

TOP画像:アヤワスカの花,  photo by NATIVE SOON