シピボ族のシャーマンのマスタープラント :カマロンガ 


“シャーマンが最も愛する植物”=“シャーマンの治癒力の源泉”


シピボ族の熟練シャーマンは、誰しもが“最も愛する植物”或いは“仕事のパートナーとなる植物”を持っています。

彼らは、長年の修行を通してこれら植物の薬効を“イカロ”と呼ばれる治療歌として獲得し、アヤワスカの治療儀礼で患者を浄化する時に歌うのです。

 

もしシピボ族のシャーマンとアヤワスカの治療儀礼を体験する機会があれば、最も愛する植物は何か、質問するといいでしょう。そのシャーマンが、どんな植物の薬効を用いて患者を治療しているのかがわかります。

 

私たちNATIVE SOONは、師匠・アルマンドが最も愛する植物を摂取し修行することを大きな目標としてきました。

なぜか?

 

アルマンドのイカロが持つ、驚異的な治癒力、特にイカロで内臓を動かす仕組みを理解してみたいと考えたからです。そのためには、アルマンドが持つ治癒力のベースライン=“彼の最も愛する植物”を授けてもらわなければなりません。



約40年間のシャーマン人生において、多くの薬用植物を摂取し修行してきたアルマンド。そんな彼が最も愛する植物とは、一体どのような植物なのでしょうか?


ビジョナリーな心身の浄化薬


それはアヤワスカの様に、ヴィジョンを通して教えを授ける植物で、あらゆるものを浄化してくれます。

アヤワスカと共に飲むと、色とりどりのヴィジョンが「バーっ」と世界を覆い尽くす様に立ち現れ、それはそれは美しく言葉になりません。だから僕は、この植物が大好きです。

 

アルマンドが最も愛する植物のひとつ、それは“カマロンガ(Camalonga)です。

カマロンガ或いはカバロンガ(Cabalonga, コロンビア流域での呼び方)は、2種類の植物を指しています 
このうちの1種類が、”黒いカマロンガ(camalonga negla)”として知られるマチン属(Strychnosに分類されるカマロンガで、毒矢に使われることもある植物です。
もう1種類が、”白いカマロンガ(camalonga blanca)”として知られるキバナキョウチクトウ属(Thevetia peruviana)に分類されるカマロンガです。
 
コロンビアのシャーマンはマチン属のカマロンガ(=Camalonga negla)を好むといいますがペルーのシャーマンは、キバナキョウチクトウ属のカマロンガ(=camalonga blanca)の種(雄と雌)を使用します。

カマロンガ*1)

学名:Thevetia Peruviana、英語名:Yellow oleander, Lucky nut

樹皮→ 適用法:内服、病気名:膨満、便秘、吐剤

 シピボ族のシャーマンは、キバナキョウチクトウ属のカマロンガの種をブランデー・樟脳・白玉ねぎ・にんにくなどでできたドリンクに浸し、食事制限しながら飲用します。
これはシピボ族のシャーマン修行のひとつで、「カマロンガのディエタ」と呼ばれているものです。
カマロンガのディエタをする者は、”camalongueros (カマロンゲロス)”という造語で呼ばれることがありますが、これはカマロンガ使いのスペシャリストを指す言葉でもあります。
カマロンガに特化したベヘタリスタ(薬用植物のスペシャリスト)が存在する程に、使いこなすまでに相当の修行を要する植物だということが推察できます。

カマロンガの効能


キバナキョウチクトウ属のカマロンガの種には、強心配糖体化合物が含有されており、陽性作用としては心筋の収縮力の増大・心拍出量増大に伴う腎血流量の増加・利尿作用による浮腫の軽減などが指摘されています。
 
一方で、飲用に伴う副作用として、腹部の痛み、嘔吐、下痢、めまい、腸や膀胱・子宮などの柔らかい筋肉部への刺激、不整脈などを引き起こす場合があるといいます。
 
 数十年前まで、シピボ族のシャーマンがカマロンガを修行する時は、光の影響を受けやすいためベットの中に篭っている必要があったといいますが、これはカマロンガの副作用から学んだ教えだと考えられます
このように、カマロンガは使用方法によっては毒薬となりうる植物ですが、近年、神経系の病(アルツハイマーなど)や薬物中毒の治療への適用が検討されるケースもでてきているようです。

夢の中で教えを授けるプラント・マエストロ

 一方、シピボ族のシャーマンは、こうした浄化作用に加え、カマロンガの教師としての側面も重視します。
カマロンガは、夢の中で聖なる教えを授ける植物だと考えられており、シピボ族のシャーマンにとって最も重要なプラント・マエストロ*2)のひとつとされています。

写真:カマロンガの薬効が縫い込まれた刺繍

 

彼らはカマロンガの薬効を獲得するためディエタをするうちに、夢の中でカマロンガの精霊と繋がると言われています。

カマロンガの精霊は、薬効や使用方法をシャーマンに伝え、シャーマンはそれらを治療歌(=イカロ)に変えて患者を治癒するのです。

前述したカマロンガの薬効については既知の事実ですが、「修行」として摂取した時に、心身にどのような変化が起こるのかといった点についての記録は多くありません。シャーマンたちは、どのようにしてカマロンガの精霊から教えを授かるのでしょうか。

 

次回以降NATIVE SOONでは、アルマンドにカマロンガを授けられたキー坊の修行日記を公開していきます。

 

カマロンガが、心身に及ぼす作用について、実体験を通した記録を残していきたいと思います。

 

 

−参照元−

1) 橋本梧郎「ブラジル産薬用植物データーベース」http://www.100nen.com.br/ja/bp/

2) 知恵を授ける植物に対する尊称。英語では「Master Plant」日本語直訳は「植物の師匠」

文献参照:Singing to the plant 

http://www.singingtotheplants.com/2007/12/camalonga/